気象データに基づき天候全般を予測
気象予報士は、気象庁が公表する様々な観測データやレーダーやアメダスなどの情報を駆使して天気や気温、風向き、波の高さなど天候全般を予測する仕事です。
単に気圧配置や等圧線のつまり具合を見るだけでなく、予測する地域の地形や特質、過去の記録なども踏まえた上で天候を予測しなくてはいけません。
天候の予測は、朝、傘を持って出掛けるか週末は出かけるか等を判断する一般の方々の生活の役に立つだけでなく、農林漁業者や気温の違いで出荷量の異なる飲料業界、入場者数に変化がでるレジャー施設など多くの事業者が活用しているのです。
漁業従事者の場合等は、天候予測が外れて荒天になったりすれば命の危険に直結することもあり、責任の重い仕事です。
TVでアイドルが行ういわゆる天気予測の単なる伝達であれば資格はいらないのですが、気象予報士の無資格者が業として天候の予報をすることは禁じられています。
勤務形態により仕事の内容は異なる
天候予測が基本的な仕事ですが、勤務先の形態や勤め方により若干仕事の内容は異なります。
1.TV局などのメディア企業で活躍する気象予報士と聞くとお天気キャスターを想起しますが有資格のお天気キャスターは少数です。
むしろ実際の気象予報士は、気象庁が発表する気象データを分析して天候を予測して、キャスターの話すあらすじを作ります。
気象庁が次々に公表するデータを入手・分析を繰り返し、ニュースの気象コーナーの時間までに予測を立てなくてはいけませんので、メディアに勤務する気象予報士は多忙だと言われます。
2.民間気象会社に勤務するケースは、顧客の依頼内容に即した気象予測の提供が業務で、広告代理店が屋外でイベントを実施するケースでは当日の気象状況は大切ですので、民間気象会社を使ってポイントや時刻を絞った正確な天候の予測が必要です。
単に気圧配置のみならず、季節要因、会場の地理的要因など様々な要素を元に総合的に判断します。
3.商社などの一般企業に従業員として雇用される気象予報士もおり、自社にとり有益な気象予測を提供して、利益に結び付けます。
ある商社が米国で小麦の買い付けをするケースでは、気象予測は、春・冬の2期作の年2回の収穫期の内今年はどのタイミングで小麦を買い付ければ最適な利潤と品質がもたらせるかの重要な情報の一つとなるのです。
難関の気象予報士試験
気象予報士の国家試験は狭き門で、近年の合格率は4パーセント台で推移しています。
この制度が作られて20年経ちますが現在でも、資格取得者数総計は10,000人以下にとどまっています。
この試験は専門知識が出題されるのみならず、実技試験もあるハイレベルな試験で、合格には相当程度の学習量が求められます。
試験はまず選択形式の学科テストと記述式の実技テストがありますが、学科テストに合格した場合だけ実技の採点がされます。
可否判断は学科・実技の双方の合計で決められます。
試験の実施時期は、例年8月と1月の2回実施されています。